こんにちは。杉山です。
先日発売された『図解&事例で学ぶ ビジネスモデルの教科書』
(監修:池本正純、著:カデナクリエイト、発行:マイナビ)
「ビジネスモデルの参考書」の4冊目は、『プロフィット・ゾーン経営戦略』です。
今回の本をつくる過程で、なかなかわからなかったことがあります。それは、
「ビジネスモデルって、いつからこんなに盛んに言われるようになったのか」
ということです。
ビジネスの世界では、昔から当たり前のように言われていたのかと思いきや、実はそうではありません。1980年代以前の本を検索しても、書名に「ビジネスモデル」とつく本はほとんど出てこないのです。
一つ思いつくのは、「ビジネスモデル特許」の登場ですが、調べていくと、アメリカでは「ビジネスメソッド特許」といっていたらしく、どうも違うようです。
そうして調べるうちに、たどり着いたのが、『プロフィット・ゾーン経営戦略』でした。
この本は1997年に発刊された本で(日本版は1999年)、著者は戦略コンサルティングファーム・CDI社の創業メンバーであるエイドリアン・J・スライウォツキー。
ビジネスモデルという概念を提唱したはしりといえる一冊です。
本の主張をざっと要約すると、
「市場シェアを取れば利益はあとからついてくる時代は終わった。今後は、顧客のニーズをくみ取ることで、『プロフィット・ゾーン』(十分な利益が得られる事業領域)を見つけ出し、利益を獲得できるモデルを構築することが重要」。
この本のなかで、ビジネスモデルやビジネスデザインという言葉が盛んに登場しています。このヒットが、ビジネスモデルが世に広まるきっかけの一つになったようです。
『ビジネスモデルの教科書』をつくる上で参考になったのは、「利益を生み出すモデル」として紹介されている、22の利益モデル。
「インストール・ベース利益」は「ジレットモデル」、「スイッチボード利益」は、「マルチサイドプラットフォーム」の執筆時に、参考にさせてもらいました。
その他、スウォッチのように低価格ブランドで盤石の地位を固め、新規参入を阻止する「製品ピラミッド利益」、コカ・コーラのように、市販店はあくまで知名度アップに使い、飲食店への供給装置納入で稼ぐ「マルチコンポーネント利益」など、『ビジネスモデルの教科書』には採用しませんでしたが、押さえておくべきモデルがたくさん載っています。新規事業を考えるなら、読んでおいて損はないでしょう。
ただ、古い本なので、なかなか書店に置いていないのが難点。私も、いくつも書店にでんエアして、渋谷のジュンク堂でやっと見つけ出しました。書店で内容を確認するなら、事前に在庫確認をした方が良いですよ。