『ビジネスモデルの参考書』2冊目の紹介は、竹内がいたします。
先日発売された『図解&事例で学ぶ ビジネスモデルの教科書』
(監修:池本正純、著:カデナクリエイト、発行:マイナビ)
本書に限らず、執筆する前に、まず資料を集めます。
論文から解説書、入門書、早わかり本まで、レベルも範囲も様々です。
ところが、困ったことに、資料を集めれば集めるほど、ビジネスモデルが、よく分からなくなってきました。「顧客目線」と「利益や効率など企業目線」で語られているモデルをはじめ、いろいろな視点が混在しているように見えたからです。
「そもそもビジネスモデルって何?」……。
はたとビジネスモデルの定義を理解してないことに気付いてしまいました。
それが分からない限り、一文字たりとも書けません。
そんな困った状況から救い出したくれたのが『ホワイトスペース戦略 ビジネスモデルの〈空白〉をねらえ』(マーク・ジョンソン/池村千秋訳)。「問題のいったんは、ビジネスモデルを論じる際の共通言語がないことにある」という一節でした。ビジネスモデルの定義はバラバラだというわけです。
「な~~んだ。定義がばらばらでは、資料を読めば読むほど混乱するのは当たり前!」と安心させてくれた上に、きちんと定義もしてくれました。それが、本書の基本的な考えになった「4つの基本要素」という考え方です。ビジネスモデルは、互いに関連しあう顧客価値提案、利益方程式、主要業務プロセス、主要経営資源という4つの要素で構成されているというのです。
この定義に従って考えれば、バラバラに見えた沢山のモデルも、4つの要素のどこかにしっくりあてはまります。
非常に参考になる本ではありますが、実は、ビジネスモデルの解説本ではありません。マーク・ジョンソンが「ホワイトスペース」と呼ぶ新しい市場の見つけ方と、そこで成功するためには、これまでのビジネスモデルを変えなくてはいけないと説いた本です。
しかし、肝心のビジネスモデルの定義が人それぞれバラバラでは、話し合いもコンサルティングもできません。そこで、まずは、共通言語として、「ビジネスモデル」を定義したわけです。
マーク・ジョンソンは、グローバル展開する戦略コンサルティング会社イノサイトの創業者の一人であり、現在は会長を務めています。共同創業者は、大ベストセラー『イノベーションのジレンマ』の著者、クリステンセン。読み始めれば、さすがイノサイトの会長とつぶやいてしまうほど、わかりやすく、しかも論理的に、誰でも納得できるように書かれています。
資料のはずが、いつのまにか読書として楽しんでしまいました。
読後には、「会社」や「市場」に対する見方がワンランク上がったような気がしました。
と、ついベタ褒めしてしまう大好きな参考書でした。