そごう西武売却で思い出したこと

こんにちは。竹内です。
「ヨドバシは『そごう・西武』をどう変えるか?小売り専門家が大胆予想!」
こんな記事に刺激を受けて、久しぶりに更新しました。

まだ見えないそごう西武の行方
上記の記事に限らず、昨年から、そごう西武に関する報道が増えました。

きっかけは、昨年、セブン&アイ・ホールディングスが、子会社のそごう・西武の売却を決めたことです。入札に関する情報提供に不備があるなどともめる一幕もあったと言われていますが、最終的に売却先はアメリカの投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループに決まりました。

各入札者は、単に入札価格を提示するだけではなく、今後、そごう・西武をどうしていくのかについてのプランの提示も求められました。フォートレス・インベストメントが提示したのは、ヨドバシホールディングスの店舗を核店舗として展開するというものでした。

その案に対して、今度は豊島区の高野之夫区長が異を唱えたのです。豊島区は、2015年に「国際アート・カルチャー都市構想」を発表し、その実現に向かって努力している最中です。その中心である池袋、その顔とも言える駅直結の場所に建っているのが西武百貨店です。この場所に必要なのは文化的な雰囲気。低層階にディスカウントストアは入って欲しくないというわけです。

高野区長は、そうした主張をするために西武ホールディングスの後藤高志社長に嘆願書を出したり、記者会見を開いたりしました。それに対して、「政治家が民間企業に圧力をかけていいのか?」「ブランドショップがあれば一流の街なのか?」「経営不振に陥るのは、そもそも百貨店の数が多すぎるのでは?」等、様々な反論が飛び出し、当分、騒ぎは収まりそうもありません。

◆20年後、40年後に起こった現実
西武百貨店の話題が気になるのは自分が新卒で入社した会社が西武百貨店だったからでしょう。在籍したのは1980年代前半。有楽町西武をはじめ、多店舗展開に力を入れ始めた最盛期でした。

今回の西武百貨店を巡る一連の流れで、当時、経験した二つのことを思い出しました。

1つはA先輩が売り場の陳列棚に置くための板状のPOP(広告)のキャッチコピー案を、企画担当にチェックしてもらった時のやりとりです。

A先輩:「こんなキャッチコピーでどうでしょう?」
企画担当:「なんだね、これは? A君、イトーヨーカ堂にいった方がいいのでは?」

失礼な話ですが、事務所内が大笑いに包まれました。自分も横でゲラゲラ笑っていました。しかし、およそ20年後には、そのイトーヨーカ堂の子会社になっていました。

そして、もう一つ思い出すのは、先輩たちとのこんなやりとり。

先輩B:「その時計、どこで買ったの?」
私:「ヨドバシカメラです」
先輩B:「え~!? そんなところで買って大丈夫?」
先輩C:「社販より安いって、時計メーカーの友達が話してたよ。やっぱり怪しいよね」
先輩B、C:「気をつけなさい」
私:「はぁ……」。
それからさらに20年後。今度は、そのヨドバシホールディングスが、フォートレス・インベストメントと連携して買収に動きました。

成熟期の後には衰退期がやってきます。一方で未来のライバルたちが続々と成長期や成熟期に突入します。教科書で習っている当たり前の話ですが、自分たちのこととなると、なかなか気づけません。

自分が勤める会社、あるいは業種、職種などは、今、どの段階にいるのか、常に意識することが重要なのでしょう。デジタルは苦手などと言っている場合ではないと、改めて思いました。


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takeuchi

takeuchi について

東京生まれ。西武百貨店勤務を経て株式会社カデナクリエイト設立。雑誌、社内報、単行本、webなど媒体問わず執筆。興味の中心は人事制度や社内教育だったが、最近は、インターンシップ、塾、学校など『教育』全般に広がっている。苦手は整理整頓。