月別アーカイブ: 2009年12月

『裏方ほどおいしい仕事はない!』をやってみた。(前編)

裏方ほどおいしい仕事はない!編集部のメンバーが最近読んだ“シゴトに関する書籍”を自ら実践。その「はたらき心地」をレポートするという、安易なプラグマティズムにもとづいた書評コーナーなのです。
<今回のやってみた本>
『裏方ほどおいしい仕事はない!』(野村恭彦/プレジデント社)
<今回のやってみた人>
箱田

“事務局力”を発動してみた。

まず帯にある「事務局力」の言葉にそそられる。
事務局とはいうまでもなく「ある目的を遂行するために期間限定で集まった組織の運営を取り仕切る機関」のこと。
だからその仕事は、たいがいメンバーのスケジュール管理やら、会議の進行やら、弁当の手配やら――「え、山田さん、欠席なの?(今日のミーティング意味ねえじゃんか…)」「なに、部長って、魚だめなの?(シャケ弁ばかりにしちゃったよ…)」――と、少し妄想しただけでも、いかにも地味だ。その割に実にめんどくさそうだ。加えて、なんというか、とてもクリエイティビティなど発揮できなさそうにも思える。
 だからこそ、一般的に、「事務局=損な役回り」とされているわけだ。
しかし、本書は、そんなステレオタイプに「否!」と説く。
そして「事務局が戦略的に動けば、組織を巧みに動かすことができる」と続ける。
ロジックはこうだ。
世の中には地味で大変だから、誰しもやりたくない仕事=「雪かき仕事」がある。

しかし、「雪かき」は、誰かがやらないとみんなが困る。事故も起きるかも。

つまり、「雪かき」のような地味な仕事こそが、社会の秩序を保っている。

会社でも同じ。
議事録書きや、ホワイトボード拭き、弁当の手配などといった「雪かき仕事」=「事務局仕事」を率先してやることが、会社の秩序を保つのだ!

いわば事務局はビジネスプロデューサー。

権限や肩書きなどなくとも、事務局力があれば、チームを会社を活性化し、さらにイノベーティブな組織体へと変貌させられるのだ!
著者の野村恭彦氏は、富士ゼロックスのナレッジ・サービス事業(KDI)を立ち上げ、現在もシニアマネージャーを努める人。「イノベーション行動学」という理論に基づき、こうした事務局力の大切さを説きながら、多くの組織を変革してきた。そんな実績に裏打ちされた自信と教養が、独自のユーモアとからまることで、実に心地よく「その気」にさせてくれる。「雪かき仕事がしたい!」と。
短期的な成果を求められる今、派手な仕事ばかり追い求め「オレがオレが」「ホメてホメて」的な利己的な働き方に傾倒する人が目立つことも、“雪かき”の誘因となるようだ。
野村氏は言う。
「なぜなら、地味で目立たない雪かき仕事をやると、逆に『ものすごく目立つ存在になる』からだ。そう、私が伝えたかったのはそこである。雪かき仕事は、本来、誰にもほめられないけれど大切な仕事、という意味であった。でも、そんな仕事を今の組織風土の中で自分からやる人は、絶滅危惧種なみの少なさだ。逆説的なことであるが、ほめられたいなら、雪かき仕事をしたらいい。ただし、黙々と。」
いわば逆張り。いまの時代、「目立たない」こそ、目立つわけだ。
「いやいや。僕なんてダメですよ~」「そんな器じゃないですよ~」「ははは…オレなんて口ばっかのカス野郎ですから」なんていつも自嘲気味に自分を評価。安全な場所に身を置いておきながら、その実、密かに「ほめられたい」し「憧れられたい」「蒼井優ちゃんとデートしたい」とゲスな欲望をひたかくしてきた僕にとっては、ことさら響いた。
つまり、雪かき仕事をすれば、蒼井優ちゃんとつきあえるのだ。(←超訳)
そんなわけで、次回はいよいよ雪かき仕事をはじめてみます。
つづく。

裏方ほどおいしい仕事はない!

裏方ほどおいしい仕事はない!

  • 作者: 野村 恭彦
  • 出版社/メーカー: プレジデント社
  • 発売日: 2009/10/15
  • メディア: 単行本




「新卒求む」1437社を経産省が公表

経済産業省が、12月25日、来春、大学や高校を卒業する学生・生徒の採用意欲があり、かつ製品やサービス、人材育成方針に優れる「雇用創出企業」1437社を公表しました。
採用意欲はあるものの、学生内での知名度が低い中小企業を知ってもらうことで、雇用のミスマッチの解消を図るのが狙い。
1437社の大半は中小企業で、食品や機械、化学などの製造業、農林水産業、サービス業など、幅広い分野の企業が並んでいます。
同様の試みは、今年2月にもおこなわれ、7000人の採用につながったそうです。
今後は、公表企業の魅力をWebや冊子にて情報発信すると共に、大学、ハローワーク、ジョブカフェなどで周知をしていく予定。
地道な施策ですが、実効性が期待できそうです。
朝日新聞「この中小企業1437社、新卒採用検討中」経産省公表
http://www.asahi.com/business/update/1225/TKY200912250443.html
経済産業省「『雇用創出企業』新リストの公表について」
http://www.meti.go.jp/press/20091225001/20091225001.html


米政府「対ハッカー専門家」決まる

12月22日、ホワイトハウスは米政府機関の「サイバー・セキュリティ・コーディネーター」としてハワード・シュミット氏を任命しました。
サイバー・セキュリティ・コーディネーターは、今年5月にオバマ大統領が創設したポスト。増加している政府機関へのハッカー攻撃に対する情報安全管理対策を指揮する重要職です。
それだけに人選に時間がかかったようですが、ハワード氏は元々空軍出身で、さらにブッシュ前政権でもハッカー対策の顧問を経験した猛者。さらにその後、eBayやマイクロソフトでセキュリティ担当者を歴任してきたとあり、官民で培った技術と見識に期待が寄せられているようです。
米国政府、サイバー・セキュリティ対策責任者にハワード・シュミット氏を任命
http://www.computerworld.jp/topics/vs/170949.html


第1回 プロローグ シゴトをたどりたくなったワケ

仕事先の仕事先の仕事先…。

「パーティーで出会った人でも、ナンパ相手でも、
お互い3人の知人をたどれば、必ず、共通の知り合いがいる」
計算上はそうなるそうだ。いいかえれば、3人たどれば、日本人全員がつながることになる。
それなら、仕事先の仕事先を延々たどってみたら、どうなるのだろうか? 計算上は全ての社会人がつながるはずだ。宇宙飛行士やイルカの調教師やスゴイ科学者など、思わぬ仕事にたどりつくかもしれない。
中には、外国人とつながっている人も沢山いるはずだ。ハリウッド・スターやシリコンバレーのベンチャー起業家…。もしかしたら、あのヒラリーにまでたどりつくのも夢ではないかもしれない。想像しただけで、なんだか自分の仕事がグローバルに思えてきた。
そんなわけで、仕事版テレフォンショッキング『ヒラリーに会いたい』をスタートさせることになったのだが、実は、この企画にたどりつくまでには、数年間の紆余曲折があった。

複雑化する仕事

そもそも仕事をたどろうと考えたきっかけは、弊社のアルバイト学生で、「将来、何をやりたいのかよく分からない」と答える人が増えてきたことだ。分からない理由の典型は、「仕事を具体的にイメージできない」ことだった。
いずれの学生も、何がやりたいのか真剣に悩み、自分探しにはまりこんだり、何万円も出して性格診断を受講したりしていた。何で、もっと単純に考えられないのか、最初は不思議に思ったが、冷静に考えてみれば、悩むのは当たり前かもしれない。
まず、自分の頃は、理系と文系、男性・女性の区分けはあったけど、職種別採用をしている会社はほとんど無かった。普通の人は、職種など考えずに会社だけを選んでればよかった。また、当時は、上場企業の数は少ない上に大量採用をしていたし、業種も単純だった。
それに比べて、今は職種別採用をする会社が増えてきた。上場企業は山のように増え、外資系企業もたくさん加わったし、上場をターゲットにした優良な中堅企業も増えてきた。また、サービス化の進展とともに、業種はどんどん細分化された。事務、IT、医療、クリエイターなどに細かく分かれている人材派遣業などは、その典型だろう。これでは、たとえ社会人経験があっても職種選びや会社選びは難しいかもしれない。実際、転職活動で何がやりたいのか分からなくなる人も少なくない。

仕事マップへの挑戦

何かいい方法はないものか…。学生の悩みが伝染したように、仕事のことが気になりだした。そんな時に、ふと手にとってみたのが、2003年に発売されて大ヒットした『13歳のハローワーク』。「おしゃれが好き」「スポーツをするのが好き」「人の役にたつのが好き」といった「好き」なことから関連する職業を選ぶという手法で、様々な職業が紹介されていた。
職業選びの段階では、就職用の業種別、業界別の解説書よりもはるかに分かりやすい。実際に、何人かの大学生に見せると、「こんな職業があったんだ」と志望先選びに役だっている様子だった。しかし、いかんせん子供向け。「こんな職業がある」レベルまでしか分からない。大学生が、この仕事で、こんな人たちと関わり合いながら働くと具体的にイメージできる方法はないものか?
そこで、みつけたのが、岩波書店から出ていた輪切り図鑑『クロスセクション』だ。潜水艦や地下鉄の駅やジャンボジェットなどを輪切りにして、内部の様子とそこで働く人々が描かれていた。子供向けの絵本だが、これがめっぽう分かりやすい。
この手法で、東京ドームやコンビニなどを輪切りにして、そこで働く人、さらに商品の仕入先や、メンテナンスに関わる業者などを紹介すれば、仕事の関わりが分かりやすいかもしれない。こんな就職先選びの本が出たら、大ヒット間違いなし! いつのまにやら、自分の仕事につなげようと目的はすり替わり、いそいそと企画書を書いて、いくつかの出版社にもっていった。ところが…。
「どうやって表現するの?」
「イラスト代がとんでもなくかかりそうな…」
「とてつもなく巨大な本になってしまうのでは?」
「いまいちピンと来ない」
どうも評判がよろしくない。
「すでに、似たようなアイデアの本が出てました!」
取材から戻ってきたスタッフの一人が、いろいろな職業をつないだ地図をもってきた。それは、当時、民間人出身の有名校長として一世を風靡した藤原和博さんの『「ビミョーな未来」をどう生きるか』という本の1ページだった。細かくて、ちょっと見づらいけど、確かに自分がやりたかったことだ。
「その地図を拡大したものが教室の廊下に貼ってありましたよ。分かりやすかったなぁ!」
あ~~あ。やられちゃった! モチベーションは急降下。そのうち、様々な体験談がついた分かりやすい業界案内本もちらほら出てきた。
いつのまにか、仕事のつながりのことなどすっかりと忘れていたが、先日、たまたま「笑っていいとも!」のテレフォン・ショッキングを見た時に、ピ~ンと閃いた。もしかしたら、複雑な図など作らず、単純に、仕事をたどればいいのでは? いろんな職業の人に直接、お会いした方が自分だって楽しい。自分の憧れの人へつながるという目的があった方が、もっと楽しい。そんなことで、『ヒラリーに会いたい』プロジェクト始動! 
はじめの一歩は、仕事の内容が分かるようで分からない、お取引先のデザイナーさんからだ。


ロボットがシゴトを変える?

最近、産業用や介護関連などの細かい作業に対応するロボットの開発に力を入れる企業が増加したそうです。たとえば、大阪の東洋理機工業は、鋳造工場の「エアハンマー」(高温の鋼材をハンマーで打ち付けて鍛える)という作業を手がけるロボットの開発に成功しつつあります。
中小企業から大企業まで、こぞってロボット開発に参入する理由は不況の深刻化。本業の不振をなんとか新規産業で補おうとしているわけです。
世の中には、ロボットを必要としている3K分野のシゴトは沢山ありますが、市場が小さかったり、開発に手間がかかるため、多くは手つかずのままでした。しかし見方を変えれば、競争を避けて共存共栄をはかれるニッチな分野の宝庫。多くの企業がロボット産業に参入することで、ロボット市場に厚みが出ることが期待されています。
ロボットの導入が広がれば、体力に欠ける女性や高齢者などの雇用の場が広がったり、人集めに苦労する3Kシゴトの労働環境が大幅に改善されるはずです。
ロボット、ニッチ市場に的 成長市場、中小に参入機運
http://www.nikkei.co.jp/news/tento/20091225AT1S2200222122009.html