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sugiyama について

1975年東京都生まれ。専修大学法学部卒業後入社。現在「月刊BIGtomorrow」「THE21」「週刊東洋経済」に寄稿中。共著に「イノベーションの教科書」「ビジネスモデルの教科書」「クイズ商売脳の鍛え方」、構成に「うまい棒は、なぜうまいのか」等。週末は野球&空手をするが、ビール&肉類大量摂取でプラマイゼロ

居酒屋スタッフ劇団、ただいま公演中!

音も文字も絵も動画も……。ネットのインフラが整いまくった今や、あらゆるものがネット経由でどこでも瞬時に触れられるようになりました。でもって、相対的に価値があがっているのが、そこでしか味わえない「ライブ」。
CDは売れずともフェスやコンサートは未だ盛況だったり、本が売れない割にセミナーや後援会に人が絶えないのもそれを裏付けます。
そんなライブの魅力を店員自らが提供、注目を集めている居酒屋(!)が、下北沢にありました。以下、『下北沢経済新聞』より。

下北沢南口の居酒屋「下北っこ居酒屋 とりとんくん」(世田谷区北沢2、TEL 03-5430-5156)のスタッフらが6月、「劇団とりとんくん」の旗揚げ公演を行った。
 同劇団は2006年、前店長・山口貴史さんの呼びかけで結成。山口さんは同店退職後、絵画を学ぶためフランスへ渡ったが、滞在中に同劇団の構想を思いつき帰国。もともと同店では役者志望のスタッフが多かったこともあり結成に至った。最初の活動は、同店のオープン1.5周年を記念したイベントで、店内を舞台に見立てて演劇を行ったこと。その後も5回にわたり、店内で「シンデレラ」や「走れメロス」を上演してきた。今年4月に行った公演では4日間で計227人が来場した。
(中略)
練習は公演が行われる約2カ月前から始め、閉店後の店内で行う。久住さんは「閉店の朝5時まで働いた後、6時~7時に集合して12時ごろまで練習する。スタッフによっては14時から仕込みをすることもあるので、ほとんど眠れない日もあった」と話す。小中さんは続けて「それでもとにかく楽しい。好きでやっているせいか苦しさを感じない」と笑顔に。

さっきまで枝豆やハイボールを運んでいた店員さんが女優、男優、演出家になる……。それ自体いかにも楽しげですが、逆に「主演女優が枝豆を運んでくる店」と考えると、居酒屋としての付加価値が高まります。
なんといっても「役者志望の人間が仕方なく居酒屋でバイトしている」のとは、大きく一線を画すポジティブさを感じさせるのがステキです。楽しそうにしてる人がいる場所に、また多くの人が集まるもの。笑顔で働く居酒屋&公演が盛況なのは当然かもしれません。
[下北沢経済新聞]「下北沢の居酒屋スタッフ劇団、立ち上げから4年で旗揚げ公演」
http://shimokita.keizai.biz/headline/953/


第8回 『SugarSync』でボンボヤ~ジュ!な出張仕事術

ボンジュ~ル。一昨日、イタリア・フランス旅行から帰国したばかりで、ヨーロッパにかぶれております。エスカ~ルゴ、モンブラ~ン、シルヴプレ。

…さて、新婚旅行という大義名分を利用し、ガツンと11日間休ませていただいたのですが、その分、仕事は前倒し。出発前はバタバタでした。一応、出発前夜にすべての原稿を書き上げたのですが、万が一、修正があったら、旅先でやらざるを得ません。原稿や資料などのデータを、現地で見られるようにしておく必要がありました。

が、データの面に関しては心配無用! 新たに杉山システム入りした、『SugarSync』のおかげです。トレビア~ン、メルシ~(すみません、もうやめます)。
これは、無料で使えるオンラインストレージソフト。簡単に言えば、自分のPCのデータをサーバーに自動でアップロードしてくれ、ネットにアクセスすれば、いつでもどこでもダウンロードできる、というソフトです。
特筆すべきなのは、ダウンロードの方法。以下のような自分専用サイトにアクセスする手もありますが、
sugar1.JPG

使っているPCが2台だけなら、そんなことをしなくてもOK。片方のPCのデータを、もう片方のPCのデスクトップ上に勝手に保存してくれるんです。
たとえば、会社と家のPC2台を登録します。すると、会社のPCのデスクトップにあるフォルダが、家のPCにも現れます。もちろんフォルダの中身も同じです。以下の画像は、上が会社PC、下が僕の自宅PC。同じフォルダがあるのがお分かりになるでしょう。

sugar2.JPG

sugar3.JPG

そして、片方のPCでデータを修正し、保存すると、自動的にアップロード。もう片方のパソコンを立ち上げた時に、これまた自動的にダウンロードしてくれます。あとは、フォルダを開ければ、修正済みのデータを見られる、というわけです。
これまで、家に仕事を持ち帰る時は、必要なデータをGmailに送っていたのですが、「あのデータを送り忘れた!」ということが、たまにありました。こういうミスとはもうおさらばというわけです。有料版はもっと高機能のようですが、無料版でも2GBの容量があるので、十分でしょう。

と、以上のことはすべて後輩の須貝に教えてもらいました。すみません、またパクリました。

そんな『SugarSync』をノートPCにインストールし、満を持して旅立った僕。幸か不幸か? 1本、原稿の修正依頼がきました! 以前もらっていた資料のデータをいくつか確認する必要がありましたが、『SugarSync』を使って同期していたので、問題なく見られました。嫁が寝てから、眠い目をこすりながらの原稿修正でしたが、スムーズに完了。いやはや、これは便利だわ。

ただ、ちょっと弱点もあります。一つは、遠隔操作ができすぎること。一度、自分専用サイト上でフォルダを削除したら、PC上のフォルダも消えてしまいました。そのフォルダはゴミ箱にあったので、事なきを得ましたが…。また、デスクトップにあるフォルダのファイルを自動アップロード時に、PCの動作がやや重くなることも。まぁ、XPを使っているからだとは思うのですが。それがイヤでなければ、使えるソフトといえるでしょう。

というわけで、快適に出張仕事ができたかのように見えますが、意外なことで手間取りました。インターネット接続です。
最初にベネチアのホテルに滞在したのですが、部屋にLANケーブルがありません。Wi-Fiか? でも、ホテルのご案内には、何も書かれていません。うーん、困った、うーん。
意を決して、フロントに聞きに行きました。うわぁ、愛想悪そうだな。

僕「えっと、え、Excuse me!」
フ「(まゆをひそめて、無言でこちらを向く)」
僕「ええと、その…Can I internet?(う、動詞がない)」
フ「what!?」

結局、ノートPCをフロントに持っていき、「Can I internet?」と身振り手振りのコンビネーションの結果、Wi-Fiのパスワードをどうにかゲットしました。

要は初歩の英会話ができれば、簡単にネット接続できたわけですが。ヤバイですね、オレ。帰国後、英会話の本を読み始めたのは言うまでもありません。


第7回 イケないモノ、見られちゃいました。

前回、下調べについて触れましたが、さらに補足すると、インタビューの時、取材相手が本を書いている場合は、事前に読むだけでなく、取材中、机の上に置くようにしています。
そうすれば、取材相手に「予備知識がある」「コンテクストは共有されている」ことが伝わるので、話がスムーズに進むし、著書の内容よりも突っ込んだ話をしてもらいやすくなります。
また、「本を買った」という事実が心の距離を縮める効果も見逃せません。
これは僕に限らず、同行する編集者の大半が実行しているので、業界の常識なのでしょう。

さて、本を机の上に置くこと自体は良いと思うのですが、
余計なことをしたせいで、取材の雰囲気が気まずくなったことがありました。

某誌の投資関係の記事で、ある評論家の先生を取材したときのことです。
この取材は、下調べの時点から、イヤなムードがたちこめていました。
「必勝の買い方」について書かれた著書を読んだのですが、何が何だかさっぱり分からない。
「僕の知識不足か?」と思ったのですが、担当編集者も「分かりませんね」。
結局、内容が薄く、肝心なことが書かれていないのです。
「この取材、期待できそうにないですね…」などと話していました。

で、当日。
当然ながら、本人に対しては、疑いのまなざしなど向けられません。
機嫌を損ねたら、聞けるものも聞けなくなります。
ご本人も、「この本、初心者向けに、けっこう分かりやすく書いたんだよね~」。
「ですよね~」というスタンスで、話を伺っていました。
ところが、取材途中に、予期せぬ出来事が。
「その話は、ココを見てもらうと分かるんだよな」と言うや否や、
先生が、私が机の上に置いた著書を手に取ったのです。
「あっ!」と思ったときには、もう遅かった。

普段、僕は本を読みながら、大事なところにアンダーラインを引いたり、感想を書き込んだりするタイプなのですが、この時は、内容の薄さに腹が立ち、ついついネガティブな感想を書きまくっていたのです。
たとえば、唐突に出てきた専門用語に対し、「は!?」と書いたり、
分かりやすくまとめた(とおぼしき)部分に「うーん…」「意味わからず」と書いたり…。

言い訳すると、机の上に載せるその他のものには、取材相手を不快にしない気配りをしていました。
たとえば、質問項目を印刷した紙やノートに、相手を否定するような書き込みはしませんし、相手の名前を書くときは必ず「様」「さん」をつけます。また、ICレコーダーの電池が途中で切れないよう、なるべく早めに変えています。
しかし、詰めが甘かった。

書き込みを見た時、先生の表情はとくに変わらず、思い過ごしかな? と思えたのですが、後日、この先生と、原稿確認の段階でちょっとモメました。
仕返しとばかりに、「これでは意味不明です」「何も分かっていませんね」。
…今後は、本の書き込みにも注意しなければ。

でも、書き込まないと、内容が頭に入っていかないのも事実。
正直、解決策が思い浮かんでいません。2冊買い? うーむ…避けたいところです。

今回の失格言
そもそも そんな人に アポとるな


第7回 仕事を劇的に“見える化”する!?『バブルマップ』手帳術

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「いま、手帳特集記事の取材に応じてくれる人を探しているんですよ。そういえば、杉山さん、何か面白いことやってませんか?」
先日、ある出版社の編集者からそんな話をいただきました。
早くも、杉山システム、雑誌デビューのチャンスか?
と一瞬舞い上がりましたが、僕、手帳の使い方はけっこう普通なんです……。
ド定番の能率手帳に、スケジュールと仕事リストを書いているだけ。
「僕には荷が重いです」と断ってしまいました。
うーん、しかし、この対応って杉山システム提唱者としてどうなんでしょうか?
ココで偉そうに自分の名を冠した仕事術を語っているのに、仕事ツールの王道といえる手帳の話ができないとは。なんかちょっと敗北感があります。
コレをモチベーションに、手帳の使い方を工夫してみることにしました。
そして実践したのが、「バブルマップ」
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一言で言えば、やるべき仕事リストを、手書きの円(=バブル)で表現する方法です。
バブルの大きさは、仕事量の大きさに比例しています。
優先順位が高い仕事ほど、上の位置にバブルを書きます。
コレの長所は、仕事を羅列したリストよりも、「見える化」できることです。
それぞれの仕事の量が表現できるので、どのぐらい仕事を抱えているか、一目で分かります。
また、途中経過も表現できる(例:半分終わったら、バブルの半分だけ赤ペンで塗る)ので、進捗具合も分かります。
さらに、大きな仕事を終わらせた時に、赤ペンで塗りつぶす時の満足感が大きい。
ま、自分で開発したみたいに言っていますが、実際は、以前、人気サイト「百式」の田口元さんに取材でお会いした時に習った方法です。早い話、パクリですね。
てなわけで、月曜日から実験スタート(※上の画像参照)。
上のバブルは、単行本の原稿書きの仕事。1週間で3章分、書き上げなきゃいけないんス。つれえ~。
さらに、下のバブル。PR誌の原稿書きの仕事もあります。
さて月曜日の夜。
2.JPG
火曜の夜。
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水曜夜。
4.jpg
大きなバブルが消えません!
急遽、PR誌の原稿の優先順位が上がったので、月火は単行本に手をつけられず。
ある意味、仕方ないのですが…。
重くのしかかる、3つのバブル。
これらが醸し出すプレッシャーたるや、リスト時代とは比べものになりません。
イライライライラ。
さらに、水曜日に、PR誌原稿の一部書き直し、別のPR誌の急ぎの見積もり依頼、雑誌の取材先探しなどが入ってきて、新たなバブルを記入しました。
が、書き込む字の量の関係上、不当にバブルがでかくなってます。
うう、より一層、圧迫感が出てきたぞ…。
こうして3週間にわたってノウハウを蓄積した結果、次のようになりました。
5.JPG
元に戻しました。
だって、あまりにプレッシャーがかかり過ぎるんですもの。
田口さんの当時の記事やブログを読み返してみると、バブルマップの使い方が以下のように書かれていました。
「あくまで1日単位の仕事を把握する時に使う」
「それ以上の期間の仕事は、基本的には項目リストで保管」
「たまに気分転換で使うのみ。いつも使うわけじゃない」

つまり、長期の予定管理には向かないというわけです。
まったく、その通り。早く読んでおけば良かった…。
というわけで、今回のチャレンジはほぼ失敗でしたが、一つ気づきました。
「何でも『見える化』すればいいってもんじゃない」。
バブルマップを使っている最中は、プレッシャーを強く感じすぎて、いつもより仕事が進まなかった気がします。
あまりに見え過ぎると、精神衛生上、良くないこともあるな、と。
いずれにせよ、当分、手帳については語れなそうです…。


第6回 特製チェックリスト

あれは、2007年7月。梅雨明け直後の蒸し暑い真夏日のことでした。
取材で新宿に向かう山手線の中で、なんとなく嫌な予感がして、カバンを開けると…。
「なんで、ICレコーダーがないんだよ…」
ライターにとって、ICレコーダーは必須アイテム。
1時間以上に及ぶ取材内容を誤認しないためには、録音が欠かせません。
これは本当にマズい!
というわけで、電車のドアが開くや否や、数百メートルを猛ダッシュし、ビックカメラで、一番安いICレコーダーを自腹で購入(6000円)。
店員から箱をもぎ取り、全身汗ビショで取材場所に急行しました。
すると、初めてお会いするその相手は、かなりかわいい女の子。
なんでこんな時に限って!
「この人、くさい」と思っただろうな…、はぁ(泣)。
しかし、懲りないもので、今でも、忘れ物をすることが度々。
月2~3回は自宅にケータイか定期入れを置き忘れるし、取材に行く途中、取材ノートや地図などがないことに気づき、内心冷や汗をかいていることも。
草野球の時も、チーム全員分のバットやヘルメット一式を自宅に置き忘れたことがありました。
幸い、今のところ、大問題につながったことはないのですが、そのうち取り返しのつかないことになっても不思議ではないよう気がします。
自分だけの失敗で済めば良いですが、他人に迷惑をかけるのは避けねばなりません。
忘れ物をしないための「杉山システム」をつくろう!
そんな話を会社ですると、さまざまな案が出てきました。
1.「はとぽっぽ」作戦
「雑誌で見たんだけど、自分の持ち物を替え歌にして、外出前に歌うといいらしいよ」と竹内。その方は、童謡の「はとぽっぽ」を歌っているそうです。
「サ・イ・フ、テイキイレ。ケータイデンワにカギトケイ♪」てな感じでしょうか。
が、同居人に話したら、「隣人にビョーキだと思われるから、やめてくれ」。
オレ、声でかいからな…。却下。
2.「オール携帯」作戦
「オレが取材したある人は、毎日全部持ち歩いていたぜ。仕事道具、爪切り、ピック、楽譜…」と箱田。なるほど、必要最小限の荷物を選ぼうとするから忘れるのであって、全部持ち歩けばいいのか。
が、同居人いわく、「そんなに荷物重くしたら、イヤになるに決まってるじゃん」。
一蹴されました。却下します。
3.「忘れ物0」作戦
「なら、ケータイを使えば?」と箱田。iPhoneには、「忘れ物0」というチェックリストアプリがあるそうです。
が、同居人いわく、「家にケータイをよく忘れる人が、ケータイにリストつくって、毎日見るとは思えない」。
それもそうだ。却下ですかね。
4.「アナログリスト」作戦
「それなら、コレは?」と竹内が取り出したのがコレ。
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おお、紙のリストですか。なんたるアナログ。
竹内の場合、旅行用に使っているそうです。
それにしても、ビール、ワイン、焼酎、日本酒を持参した上、さらに酒を買うとは…。
でも、紙が一番良さそうです。
実は6~7年前にも一度つくっているのですが、いつしかその存在を忘れていた(汗)。
忘れ物リストを忘れないための忘れ物リストが必要そうですが、玄関に置いたり、机に貼ったりしておけば、今度こそ見逃すことはないでしょう。
最終的にコレに落ち着きました。
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コレは自宅用。「よく忘れる」「忘れたら困る」項目を書いておきました。
なんだか自分の行く末が心配になってきましたが…。
さらには草野球用もつくりました。これで、もう忘れないぞ!
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というわけで、さっそく、今朝、自宅用を使ってみました。その結果。
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腕時計を忘れました。
リストを見ながら用意していたのですが、やや寝坊して、あせっていて、その、うーん、言い訳になりませんね。
帰って、同居人にこう言われました。
「ツールに頼るより、時間に余裕をもって行動した方がいいと思うよ」