月別アーカイブ: 2010年2月

人材のグローバル化のネックは?

最近、大学、企業をはじめ、外国人の受け入れに力を注ぐところが増えています。少子高齢化に対応したり、グローバル競争に勝ち残る人材を世界中から確保することが狙いです。ところが、現実は、なかなかうまくいかないようです。以下産経ニュースより引用。

『看護師の国家試験が21日、全国で一斉に行われ、経済連携協定(EPA)に基づき来日したインドネシア人の看護師候補者の約270人が試験に挑戦した。うち約100人は平成20年に来日した候補者で、帰国までの受験チャンスは今回を含めてあと2回。昨年合格者がいなかったことから、3月26日の試験結果の発表に注目が集まる。
 インドネシアの看護師候補者は約半年の日本語研修を積み、全国の病院で働きながら国家試験に向けて勉強を続けてきた。しかし、医療の専門用語には難しい漢字も多く、候補者は臨床研修より日本語の勉強に多くの時間を割いている。
 国は候補者に国家試験合格に向けた十分な教育プログラムを用意しておらず、教育は受け入れ側の病院や施設に「丸投げ」されているとして現場からは「国がもっと細やかなサポートをすべきだ」などの不満も聞かれる

ところで、大学が外国人受け入れに積極的になった大きな理由は、実は、日本人学生が「外国人に慣れること」だそうです。大学に限らず、社会全体が、まずは、そこからじっくりなのかもしれませんね。
[産経新聞]インドネシア人候補270人、看護師試験を受験
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100222/biz1002220126003-n1.htm


メール中毒にご用心

モバイル端末の発達や、無料ウェブメールのおかげで会社にいなくても仕事のメールをチェックすることがかなり容易になりました。米のNeverfailの調査によると、会社員の95%が勤務時間外にメールをチェックしているそうです。ただ、それが過剰になりすぎて「電子メール中毒」な人もいる模様。以下、「ITpro」より引用。

 運転しながら電子メール・メッセージを打ったことがある人の割合は76%。飛行中の機内からメッセージを送信したことがあると認めた人は30%だった。
 社員は常にモバイル端末でメッセージを受け取れる状態でいなければならないというプレッシャを感じ、危険な状況でも電子メールにアクセスしようとする「電子メール中毒」に陥っていると同社は指摘する。たとえ1時間でもモバイル電子メールが遮断されたら、業務に支障をきたすと答えた人は、85%にのぼった。
 回答者の94%が終業後の夜間に電子メールをチェックし、93%が週末に電子メールにアクセスする。79%は休暇中でも仕事関連のデバイスを持ち歩き、3分の1以上が一緒に休暇を過ごしている友人や家族に隠れて電子メールを確認する。また、結婚式(20%)、卒業式(30%)、葬式(15%)に参列しているときでさえ、電子メールをチェックする人が少なからずいる。

仕事での迅速な対処はたしかに大事ですが、運転中にメールをしていて事故を起こしたら元も子もありません。というか、日本では道交法違反なので、くれぐれもやらないように。
[ITpro]仕事が気になる会社員、95%が時間外でもメールをチェック
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Research/20100219/344829/


『裏方ほどおいしい仕事はない!』をやってみた。(後編)

裏方ほどおいしい仕事はない!編集部のメンバーが最近読んだ“シゴトに関する書籍”を自ら実践。その「はたらき心地」をレポートするという、安易なプラグマティズムにもとづいた書評コーナーなのです。
<今回のやってみた本>
『裏方ほどおいしい仕事はない!』(野村恭彦/プレジデント社)
<今回のやってみた人>
箱田

「雪かき仕事」を実際にやってみた

地味で大変だから、誰しもやりたくない「雪かき仕事」。そんな“事務局”的な地味な仕事を黙々と遂行することが、オレオレ的なモチベーションがはびこる現代の組織では、むしろ目立つ。結果として権限がなくとも、人を動かし、組織を動かすことになる――。
野村恭彦氏の『裏方ほどおいしい仕事はない!』にインスパイアされ、さっそく雪かき仕事を実践することにした。本書によれば、「雪かき仕事はどこにでも転がっている」という。
例えば朝一番に職場についてホワイトボードをきれいに消して、マーカーが使えるかどうかを確認する。色の出ないものは捨てて、新しいものを並べる。
例えば会議があれば「議事録とります」とパソコンでメモをとり、会議が終わった後ですぐさま参加者全員に送信する。
例えば周囲の同僚に「何か手伝うことある?」と声をかけてまわり、あったなら手伝い、なければ「何かあったら言ってね」と伝える。
いかがだろう。どれをとっても「裏がアリそう」に見えるのは、僕が汚れちまっているからだろうか。「なにをたくらんでいるんだ?」なんていぶかしがられそうだ。しかし、それこそが雪かき仕事で、また巡り巡って大きなリターンが期待できるのだという。
「そんな悪いですよ。私もホワイトボードふきます!」「議事録サンキュー! 助かったよ。今度はオレがやるよ」「いやいや、むしろ今度は僕が手伝いますよ」。こんな風に「人のために動く」雪かき仕事が、実は「人を動かす」ことになる。
こうした雪かき仕事が多大なリターンに繋がる理由を、本書はパウロ・コウリーニョというブラジル人作家が示した『恩義の銀行』という考え方で裏付けている。人は自分の人生で誰かのために何かをしてあげることで、恩義の銀行へ貯金をしている。何かしてもらうときに、その貯金を下ろしている。実はこうした「助けられた恩義」のほうが、「金銭的な損得」よりもずっと人を動かす力がある、というわけだ。
考えてみれば、そうだ。相手が自分のために何かをしてくれたとき、チップでも払ってしまえば、それは「サービス」となり、気兼ねもなくなる。しかし、対価を求められないとなると「いやはや、何だか悪いですな!」という負い目が途端に芽生えるものだ。タダより高いものはない、なんて言葉もあるが、つまりはそんな無償の恩義こそ重く、価値が高いということかもしれない。なるほど、と納得したところで、僕が試してみた雪かき仕事はコレだ。
『オフィスのトイレ&床掃除』。
おお~。いかにも「雪かきズム」に溢れた作業といえないだろうか? 我がカデナクリエイトは、アルバイトスタッフを入れても総勢5~6名程度の小所帯。オフィスなんていってもマンションの一室を改装したに過ぎない。なもんで、放っておくと紙資料の断片やら、綿ボコリやら、髪の毛やらが錯乱し、実に気分が悪くなる。しかし、共有空間とは実にあいまいなもので、確かにみんなのものではあるが、自分だけのものじゃない。まさに雪かき仕事のフィールドである。だからして、結局普段は「バイトくん、やっておいてくれたまえ」とこんなときばかり権限を行使するのが定番なのだった。
ところが、最近はアルバイトスタッフが出勤しない日も多かったりする。自ずと掃除は滞る。当然、いろんな毛がつもる。結果、ぼんやりと不快な気分がオフィスに積もり、生産性も低くなっている、気がした。そこで毎朝、幾分早めに出社。と同時にトイレと床をささっと掃くことを自分に課した。最初は「面倒だ」「汚いな」と思った。が、どうだろう。実際にからだを動かしてしまうと、あら不思議。コレが意外に気持ちいいのだ。しかも自分でキレイにしてみると、汚すのが惜しくなるから、当たり前のように出社→掃除という流れが体にたたき込まれる。しかも社内の誰より早く出社して、密かに皆がいやがる雪かき仕事をしている、というストイックな自分に、何だかいとおしさすら感じてきた。
「オレっていい奴だな~」
もっとも、2週、3週、4週と、黙々と掃除してきた頃、思った。

裏方であることの葛藤――。

「もしや……誰もオレがいい奴だってことに気づいていないのでは!?」
誰もいない朝のオフィスでクイックルワイパーをかける。トイレの中に籠もっていそいそと便器をふく。キレイになったところで実に孤独なのである。思わず「ありゃ? 今日は何だかトイレがキレイじゃないかい!」「ややっ、そのテーブルの下、なぜかホコリひとつないねぇ!」などと、これみよがしに口走りたくなってきた。
しかし、ココが耐えどころだ。だって、それをやったら「オレオレ」な人と何も変わらないから。「あいつめんどくさい奴だなあ」と思われるだけだ。なんて、自問自答するうち、気づいた。考えてみたら、僕が気づいていなかっただけで、周囲も密かにすでに雪かき仕事をしてるんじゃないか? と。
「そういえばあいつは言わずともゴミ出ししてくれてるな」「ああ、あの人は密かに購買部的仕事してくてるじゃんか」「彼はあの仕事、言われずとも黙々とやってんなあ…」なんて具合に。振り返ると、同僚たちの“見えざる雪かきの手”を感じられるようになってきた。そして、そんな姿に気づくとまた、自分も雪かきしよう! と強く思う。おっと、これこそ、まさにこれぞ事務局力の効用ではないか。ぐるぐると巡り巡って、自分に戻る。雪かきすると、雪かかれる。雪かかれると、雪かきたくなる、みたいな。
ちなみに本書では、もっと具体的かつ効果的に事務局力を発揮できる「仕掛け」について書かれている。「鍋奉行ホワイトボード――会議のときはとにかくホワイトボードの前に立って、鍋奉行よろしく全員の満足を常に考えながらバランスよく全員の発言を促す」とか、「内職プレゼンテーション――会議の最後15分くらいは密かにテーブルから離れてサマリーチャートを作り、しれっと終了前に公開。その際に自分の意見をさりげなく誰かの意見として混ぜ込んでおく」とか。
それぞれ瞬時に劇的に組織を変える類の仕掛けではないが、だまされたと思って、実践してみてほしい。どんな形であれ、じわじわと雪かきの力を実感できるはずだ。
それにしても満足なのは、この記事を書いたおかげで「僕が密かにトイレ&床掃除をしている」ということをイヤミなく社内の人々に伝えられたことである(←だからダメ)。

裏方ほどおいしい仕事はない!

裏方ほどおいしい仕事はない!

  • 作者: 野村 恭彦
  • 出版社/メーカー: プレジデント社
  • 発売日: 2009/10/15
  • メディア: 単行本




「未来のオフィス」に投票を!

気がつけば21世紀もほぼ10分の1が経過。ITの浸透やワークライフバランスの広まりで、働き方は多種多様に進化した気がします。もっとも、オフィス環境は旧態依然。強引に引き延ばされたLANケーブルがかろうじてアレですが、その他はグレーのデスクにスチール家具に囲まれた20世紀丸出しのオフィスに通われている人も多いはずです(弊社とか)。
「未来の使いやすいオフィスとは?」。そんな疑問にメーカー側からの提案がなされています。野村不動産が竣工したオフィス物件「PMO秋葉原」にて、今月25日まで「理想のオフィス・未来のオフィス」をテーマとしたコンペティションを開催中なのです。以下、同社プレスリリースより。

 野村不動産株式会社は、2010年1月末の第五号オフィス物件「PMO秋葉原」の竣工にあたって、大手オフィス家具メーカーなど6社(株式会社イトーキ・株式 会社インターオフィス・株式会社内田洋行・ 株式会社岡村製作所・コクヨオフィスシステム株式会社・プラススペースデザイン株式会社)と協働して「理想 のオフィス・未来のオフィス」をタイトルにしたコンペティションを 開催します。
「理想のオフィス・未来のオフィス」コンペティション概要
■日程 2月19日(金)・22日(月)~25日(木)
■時間 OPEN:10:00 CLOSE:17:00
■開催場所 東京都千代田区岩本町3-11-6 PMO秋葉原
●投票によってパートナーを選定
 今回の「理想のオフィス・未来のオフィス」コンペティションは、「PMO秋葉 原」を会場にして、オフィス家具メーカーなど6社がプレゼンテーションブースを設け、各社の考える理想のオフィス環境を来場者に提案した上で投票をしてもらうユーザー参加型のイベントです。
 開催期間中、来場者には最も賛同する提案に投票をしていただき、一番得票の多かった出展企業は、今後PMOに新たに設置するモデルオフィスのメインコーディネートを担当する予定です。

ユニークなのは上記にあるように「入場者に投票させる」こと。一般の入場も可能なようなので「執務、会議、リラクゼーションなど用途に応じてデスクを機動的に可変できるテーブル」や、「テーブル上のシートに置くだけでネットに接続できるLANシステム」といった多彩な提案を吟味してみては? 投票後、オフィスに戻って着いた自分の席が使いづらいったらありゃしなそうですが……。
[PMO公式HP]「理想のオフィス・未来のオフィス」を提案
http://www.pmo-web.com/lp/pv20100219/


感動を呼ぶ美容室

客の誕生日には、鏡に祝福メッセージを書き、ケーキを用意。受験生には合格祈願のお守りを渡し、自転車のタイヤに空気を入れるなどの細やかなサービスも――。
そんなプラスアルファのサービスをする美容院が登場し、人気を集めているそうです。
この美容院は、(有)バグジーが営む、北九州市の「空海風花」。
こんな試みを始めたきっかけは、経営危機でした。成果主義経営を導入し、給料を顧客獲得数に応じた歩合制にしたところ、職場の空気が険悪に。ついには、約20人いた従業員の半数が反発して退社したそうです。
この経験から、経営者の久保さんは、「従業員を大切にしないと経営は成り立たない」と痛感。残った従業員に「働きがいを高める」と約束し、各店に運営方法を委ね、経営方針に従業員の意見を採用するようになりました。さらに「心が豊かになれば」と、親の誕生日を有給休暇にして親孝行を奨励。開店前に心に残った小説を読み合うことも始めたそうです。
その結果、従業員は明るさを取り戻し、「客を喜ばせたい」という気持ちが芽生えて、冒頭のサービスを従業員が考え出すように。そのサービスが感動を呼び、同社の売上も年々伸びてきたといいます。
自分で考えた小さなアイデアが、客を喜ばせることにつながり、自分自身の働きがいを高める。そんなサイクルを会社の取り組みで生み出した事例ですが、この手法は、個人のモチベーションアップにも使えそうです。まずは目の前の小さな工夫から?
[読売新聞]手作り癒やしの美容室
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/fukuoka/news/20100216-OYT8T01365.htm