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takeuchi について

東京生まれ。西武百貨店勤務を経て株式会社カデナクリエイト設立。雑誌、社内報、単行本、webなど媒体問わず執筆。興味の中心は人事制度や社内教育だったが、最近は、インターンシップ、塾、学校など『教育』全般に広がっている。苦手は整理整頓。

そろそろスマホおばさん?(3)

いつのまにやらアラフィフ世代!! いまや、びっくりするほど新しいことが分からなくなってきました。このままでは、日常業務にも差し支えそうです。というか、すでに差し支えています。新しいことに強い「アラサー世代」に習えば全て解決なのは分かっていますが、年寄り扱いされるのはちょっとシャクにさわります。聞くべきか、聞かざるべきか……。今日もそれが問題です。

世の中の仕事の流れについていくために、
いよいよスマホ購入宣言をしました。

「これでアンドロイドも揃うわけですね!」
「スマホ率100%!」
「エクスぺリアですかね?」
「ギャラクシー触ってみたかったんですよね!」…。

「そ、そうだよね!」
と言ってはみたものの、みんなの話は半分も分かりません。ギャラクシャーってゲームじゃなかったっけ?

ドコモのカタログ 


こんな調子で、機種選びなどできるのでしょうか?
途方に暮れていると、スタッフAがスマホの選び方を特集した雑誌を貸してくれました。

「おおーー、ありがたい!」と思ったのも束の間。
誌面には「いよいよデュアルコア!」「デュアルコアの機種」…。
デュアルコアの文字が踊ってますが、いったいこれは何でしょう?

「要するに、ふたつのCPUをひとつにまとめ…。とにかく早いということですよ!」

な、なるほど。それなら早いと書けばいいのに…。年寄りに対する意地悪か?
他にも分からない言葉だらけ…。再び、スマホいらないという気分になってきます。

しかし、よく考えれば、ガラケーも使いこなせない自分が、スマホの最先端機能など知ったところで使いこなせるわけありません。全くのムダな努力だと気づいたので、とりあえず書を捨てて店に行ってみることにしました。

年寄り扱い&迷惑顔をされたらいやなので、大混雑の家電量販店は避け、近所の閑古鳥が鳴いているドコモショップを選びました。店をチラリとのぞいただけで、もう暇そうな店員が近づいてきました。

店員:「今日は、どんな御用事で?」
私:「スマホが欲しいです!でも、どれ買っていいのか分かりません!」
店員:「それならデュアルコアの…」
さっきの雑誌みたいに、まず、デュアルコアです。
私:「す、すみません、そのような機能の話はよく分からないので、デザインで選びます!」
もう難しい話は聞きたくないので、逃げるように展示コーナーに行きました。

……商品が有りすぎです。

『ハドソン河のモスコー』という映画で、旧ソ連からアメリカに亡命した主人公が、ある日スーパーに買い物に行くと、あまりの物量で、どう選んでよいのか分からず、ついに気絶してしまうというシーンがありましたが、まさにあの気持ちです。

冷や汗を出しながら商品の前でぼんやりしてると、今度は女性店員が寄ってきました。

女性店員:「何がしたいですか?」
私:「大きな画面でローマ字入力」。
女性店員:「それなら出たばかりのギャラクシーがオススメですよ」
そういって、入力してみせようとしましたが、なかなかローマ字の画面が出てきません。
「ちょ、ちょっと待って!」。彼女は、店の奥に入り私物のギャラクシーを持ってきました。「やっぱり自分のじゃないとね!」そう言って、チャカチャカと打ってみせてくれました。画面を横にするとローマ字入力のキーが大きくなります。確かに便利?

ローマ字入力画面

私:「使い心地はいいですか?」
女性店員:「最高ですよ。私は迷いなくコレにしましたよ!」
そう言いながら、いとおしそうに画面を撫でています。

なるほど。お店の人が使っているならいい機種なのでしょう。私も真似することにしました。

私:「それに決めました!」
女性店員:「ありがとうございます。それでは、こちらにどうぞ」

さあ、これで、私もいよいよスマホ・オーナーです。


そろそろスマホおばさん?(2)

いつのまにやらアラフィフ世代!! いまや、びっくりするほど新しいことが分からなくなってきました。このままでは、日常業務にも差し支えそうです。というか、すでに差し支えています。新しいことに強い「アラサー世代」に習えば全て解決なのは分かっていますが、年寄り扱いされるのはちょっとシャクにさわります。聞くべきか、聞かざるべきか……。今日もそれが問題です。

昨年10月、11月のことです。

スマホなんていらいない!個人的にはシルバーホンでも十分!
と思ったのですが、仕事に影響が出てくると話は別です。

影響その1
それは新規の広告関係の仕事でした。
クライアント、デザイナー、編集者などがメーリングリストとグーグルドキュメントを中心に情報を共有。中には知らない人もいます。私にとっては初めてのやり方でした。

具体的には、日々のやりとりはCCでメーリングリストに落とします。グーグルドキュメントは仕事の工程管理表として使われていました。誰かが次にやるべき仕事を指示してくれるのではなく、基本的には各自がグーグルドキュメントをチェックして判断するといったやり方でした。メールの数は多い日は100件以上。工程管理表は日に何度も変わります。連絡事項や仕事のタイミングを見逃さないように神経質なほどドキュメントとメールをチェックしてました。

困ったのは外出時です。私のガラケーではドキュメントが見えないからです。メールに関してはgメールで読めるように設定しましたが、ケータイでは字が小さくて読みづらい。その上、数日たつと勝手にログアウト。再び、ログインするのは、結構面倒。イライラが募って肌に悪そうです。

影響その2
それは、某雑誌の取材でした。
その日は拝島駅で編集者と待ち合わせをしていました。

約束より20分前に到着する青梅線乗り入れの中央線に乗ったつもりでしたが、立川駅直前で間違って高尾行きに乗ったことに気づきました。立川駅で降りれば青梅線に乗り換えられるのでしょうか? それとも乗り換え駅は八王子駅でしょうか?

こんな時に限って路線図から遠い場所に座っていました。しかも車内は込んでいて簡単には動けません。
それならケータイで検索です!

打ちにくい!
打ち間違えた!
なかなか表示されない!

「立川駅で乗り換えだ!」

やっと分かった時には、もう立川駅を通過してました。大幅な遅刻をして立場を失いました。

スマホさえあれば…。
検索は間に合ったはずです。
スマホさえあれば…。
立場を失わずにすんだはずです。

なるほど。
ビジネスパースンにはスマホは欠かせなことがよく分かりました。

12月までには必ずスマホ買います! 
決心が揺るがないように、社内で宣言しました。


そろそろスマホおばさん?(1) 

いつのまにやらアラフィフ世代!! いまや、びっくりするほど新しいことが分からなくなってきました。このままでは、日常業務にも差し支えそうです。というか、すでに差し支えています。新しいことに強い「アラサー世代」に習えば全て解決なのは分かっていますが、年寄り扱いされるのはちょっとシャクにさわります。聞くべきか、聞かざるべきか……。今日もそれが問題です。

昨年9月のことです

気がつけば、オフィス内は、私以外は全員スマホ…。

「グーグルカレンダーがどこでもみられて便利だよね」
「スマホにしたらFBのチェックばかりするようになってカミさんとケンカだよ(笑)」
「このアプリってさぁ…」

こんな会話が交わされていますが、何のことやら、さっぱり分かりません。
このままでは浦島太郎→仲間はずれ→年寄り八分です。

やばいなぁ…。
でも、困ったことにスマホはぜんぜん欲しくありません。
同時に、これが頑固化現象かもしれないという不安も過ぎります。
持つべきか、持たざるべきか…。

そんな時です。

「老眼年齢こそスマホ! 画面が大きいだけではなく、文字も地図も、さらに、こ~んなに拡大できるんですよ!」
スタッフAがうれしくない勧め方をしてくれました。

画面をのぞき込めば…。
確かにでかい! 確かにみやすい!

「そ、そろそろスマホかな?」

ぐらりと心は動きましたが、いくつか問題がありました。
というか、やっぱり新しいことは面倒なので、買わない理由を並べているだけなのかもしれません。

まず機種です。分からないことはすぐ聞けるように、できれば誰かと同じ機種にしたいのですが、困ったことに他の人が使っているのはiPhoneとブラックベリー。

私のキャリアはdocomoなので、iPhoneを使うためにはソフトバンクかauに変えなければなりません。そうすればdocomo歴10数年の割引の権利が消えてしまいます。一方、ブラックベリーはdocomoですが、画面が小さく老眼の身で使うのは無理です。

そして目につく数々の噂。「年寄りにスマホを販売すれば、説明に手間がかかる上に、後日、何度も問い合わせがきて仕事にならないから、さりげなくガラケーをすすめる」「年寄りは、指先が乾燥してるから画面を触っても反応しない」……。
年寄りは持つなということですか?

よく考えてみれば、動画見るわけでも、ゲームやるわけでも、写真とるわけでもないし…。
スマホなんて、やっぱりいらない!
ガラケーで十分!

そう思ったのですが…。              
                                            (つづく)


『社長の繁盛トレンド通信』72回目がアップされました。

日本経営合理化協会AV局のHPで、連載させていただいてる『社長の繁盛トレンド通信』72回目がアップされました。

今回は、社会貢献とビジネスを両立させた根岸の『250にこまる食堂』を紹介しました。

お店が社会貢献活動の場になっているユニークな食堂です。
しかもランチは、たったの300円(うち寄付50円)。その上、味もなかなかです。

近くを通った際には、ぜひ、お試しを!


日産自動車の新たな制度

1月7日、新聞各紙が日産自動車の新たな制度シニア・イノベーション・リサーチ(SIR)」を発表しました。

headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120106-00000007-fsi-bus_all

社内外から研究職を公募する制度です。身分は3年間の嘱託扱いの契約社員。正社員の場合、制度の対象者に決定すれば、契約社員になるためにいったん会社を退職します。仮に優れた成果を上げれば、数千万円の高額な報酬が得られますが、思わしい成果が出なかった場合に再雇用される補償はありません。終身雇用に慣れた世代にとっては、極めてハイリスクハイリターンの制度に見えますが、すでに3人の社員が対象者に決定し、退職手続きをとったそうです。

バブル崩壊後、終身雇用・年功序列制度は徐々に崩れ、成果主義に移行していきました。しかし、成果のあげやすさは、部署によって違います。そこで広がったのが、企業からみればチャンスの平等。社員から見れば、「自分のキャリアプランは自分で決める」という考え方です。個人が自分のキャリアを選べる制度を用意する企業が増えていきました。社内公募制度、社内ベンチャー制度、プロジェクトの提案制度などはその代表です。

しかし、せっかく制度を用意しても、当初はなかなかうまくいきませんでした。伝統的な上司は、部下の進路は上司である自分が決めるものと考えていたので、部下が勝手に好きな部門や好きなプロジェクトに応募することを好まなかったからです。中には「オレよりもアイツの下で働きたいのか?」「この忙しいのに抜けるとは、自分勝手でケシカランやつだ」などと考える上司もいたそうです。多くの部下は、「もし応募すれば、上司は自分に反感を持つはずだ」→「選考に漏れれば反感を強めた上司の下に働くことになる」→「応募はあまりにもハイリスク」→「公募制度は絵にかいたモチだ!」と考えます。

公募制度の定着に熱心な企業は、「応募は人事部経由、面接は日曜」「プロジェクトは社長直轄」「研究期間は別室で」といった上司の影響を排除する方法を次々に編み出しました。一方、「優秀な成績に対する報奨として好きな部署に異動できる」「成功した場合の報奨と失敗した場合のペナルティを自分で決める」といったユニークな制度も登場しました。

こうして過去の話題になった公募制度と比較してみると……。冒頭にイリスク・ハイリターンと書いた「シニア・イノベーション・リサーチ(SIR)」は極めて真っ当な制度に見えてきました。いいかえれば、公募制度がやっと普通の制度になったことを示しているのかもしれません。