【イノベーションの参考書・2】イノベーションを起こすならインドへ行け!? 『リバース・イノベーション』

こんにちは、杉山です。

日本で最もわかりやすいイノベーションの本を、と弊社のメンバー3人が執筆した『図解&事例で学ぶ イノベーションの教科書』。
図解&事例で学ぶイノベーションの教科書

この本の内容をさらに深く知ることができる“イノベーションの参考書”第2弾として、『リバース・イノベーション』をご紹介します。

イノベーションはどこで生まれるか。そう聞かれたら、「先進国」と答える人が多いのではないかと思います。やはり最先端の学問や技術のある場所だろう、と。

しかし、リバース・イノベーションは、まったく逆。「途上国で生まれて、先進国に逆流するイノベーション」のことを指します。

どういうことか。本ではスペースの都合で割愛した、アメリカのディア・アンド・カンパニーの例を挙げましょう。

同社は「ジョンディア」のトラクターで知られる世界的企業ですが、インドでは全く売れませんでした。同社の製品は高価な大型トラクターが主体で、所得が低く小規模農家が多いインドでは受け入れられなかったのです。「インドの農業が進化すれば、農家が大規模化し、大型トラクターが売れる」とディアは何年も戦略を変えずにいたんですね。

しかし、ディアは、ついに過ちを認め、新製品の開発に着手しました。

市場調査をすると、「安い」「小回りがきき、操作しやすい」というニーズのほか、日常の交通手段として使ったり、他人に貸し出したりすることから、「耐久性の高さ」も重要だと判明。従来品の延長では満足な製品ができないと判断。設計を根本的にやり直し、製造工程も見直しました。

その苦労のかいあって、インド市場に合った製品が完成。これが当たり、目標を上回る売上を達成したのです。このトラクターは他の国でも評判となり、ディアは世界中でシェアを拡大することに成功したのです。

このように、途上国では先進国とはまったく違うニーズがあることから、製品開発の新しいヒントが見えてくる。また、そうして生まれたものは、実は先進国でも重宝されるというのが、リバース・イノベーションの考え方です。

だいたいの概要は、拙著『イノベーションの教科書』にありますが、より詳しくイノベーションの起こし方を知りたいという人は、『リバース・イノベーション』をご覧になると良いでしょう。

今回の本で、リバース・イノベーションについて書いてから、中進国や途上国で売れているものが気になり始めたのですが、けっこう面白いものがありました。

たとえば、インドネシアで売れている、洗濯板付きの洗濯機。洗濯前にこすりたいそうです。最初はなんで?と思いましたが、確かに1回の洗濯で落ちるか怪しいシミなどがついている時は便利かも。

リバースしそうなアイデアを探してみると、きっと、さまざまなヒントが得られるはずです。


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sugiyama

sugiyama について

1975年東京都生まれ。専修大学法学部卒業後入社。現在「月刊BIGtomorrow」「THE21」「週刊東洋経済」に寄稿中。共著に「イノベーションの教科書」「ビジネスモデルの教科書」「クイズ商売脳の鍛え方」、構成に「うまい棒は、なぜうまいのか」等。週末は野球&空手をするが、ビール&肉類大量摂取でプラマイゼロ