『図解&事例で学ぶ ビジネスモデルの教科書』未掲載原稿を公開

図解&事例で学ぶ ビジネスモデルの教科書

本を作るとき、ページの都合上、原稿を削ぎ落とすことがあります。
『図解&事例で学ぶ ビジネスモデルの教科書』でも、そんなことがあり、
以下の「BOPビジネス」の原稿を最終的に削りました。
ビジネスモデルを考える上でヒントになる視点だとは思うので、よろしければご参考ください。

(以下です)
 「BOP」という言葉をご存知でしょうか。ベース・オブ・ザ・ピラミッドの略で、途上国に暮らす低所得者層の人々をあらわしています。
 企業の社会貢献が求められるなか、このBOP層の自立や生活向上を支援する「BOPビジネス」が、脚光を浴びています。
 バングラディッシュのグラミン銀行はその代表格です。大学教授だったムハメド・ユヌスが、銀行でお金を借りられないBOP層を対象とした少額融資のシステム(マイクロクレジット)を考案。借り主を含めた5人の互助グループをつくれば、無担保でお金を借りられるようにしました。これがBOP層の人に支持され、8000万人以上(うち97%が女性)が、生活の立て直しに利用。ユヌスはこの功績がたたえられ、ノーベル平和賞を受賞しました。
 一方、イギリスのユニリーバは、途上国のBOP層の人が買えるように、石鹸や洗剤、シャンプーなどを小分けにして販売しました。こうして清潔な環境づくりを後押しするだけでなく、商品を戸別販売するスタッフにBOP層の人を雇うことで、雇用も生み出しました。
 住友化学が始めたのはBOP向けの蚊帳ビジネスです。マラリアを媒介する蚊を寄せ付けない防虫剤を含んだ繊維の蚊帳を開発。製造ノウハウをアフリカ企業に無償供与し、現地生産できるようにしたのです。現在は世界50カ国にこの蚊帳が普及。アフリカで約8000人の雇用を生み出しています。
 自社のノウハウを用いて、BOP層の自立や生活向上を支援する。このような視点から、ビジネスモデルを考えてみるのも良いかもしれません。


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sugiyama

sugiyama について

1975年東京都生まれ。専修大学法学部卒業後入社。現在「月刊BIGtomorrow」「THE21」「週刊東洋経済」に寄稿中。共著に「イノベーションの教科書」「ビジネスモデルの教科書」「クイズ商売脳の鍛え方」、構成に「うまい棒は、なぜうまいのか」等。週末は野球&空手をするが、ビール&肉類大量摂取でプラマイゼロ