仕事のシステム化を追求する「杉山システム」のコーナーですが、今回はちょっと番外編。先日、宮城県・石巻へ、0泊2日のボランティアツアーにいってきましたので、レポートさせていただきます。
今回参加させていただいたのは「地域の芽生え21」さんのツアー。
311以降、被災地に足を踏み入れたのは、これが初めてでしたが……。
高さ10mはあろうかと思われるがれきの山、上下2段で隙間なく積まれている廃車の山、道路に横たわる巨大タンク。
半年以上が経った今も残る爪痕に、言葉がありませんでした。
この日の仕事内容は、写真の呉服屋さんの店内清掃。 震災時に20~30坪ほどの1階店内が水没したのに加え、先日の台風で再び激しく浸水してしまったとのことでした。
作業時間予定は、朝8:00から昼14:30。メンバーは男女合わせて30人ほど。始める前は「14:30に終わっちゃっていいの?」「これだけたくさん人がいれば、早く終わるのでは?」と思いましたが、とんでもない思い違いでした。
手始めに、店内の濡れた畳を、天日干しするために店外へ運んだのですが、乾いている畳でさえも、一人で運ぶにはかなり重い。濡れた畳なんぞ、とても一人では運べません。5枚も運んだら、背中の筋肉がきしんできました。
その後も、家具を運び、家具を磨き、濡れた反物を1カ所にまとめ、壁や床をデッキブラシでこすった後、雑巾を掛けて、とやること盛りだくさん。午前中で、早くも体が動かなくなってきました。
そして昼食休憩後は、乾いた畳を2階に運ぶ作業が(もちろんエレベーターなし)。畳を運び終わったら、大量の濡れた反物を2階に運ぶことになりました。心が折れかけてきましたが、「わざわざここまで来ているのに、働かなくてどーする!」と思い、ひーこらいいながら、なんとか14:30までの職務を全うしました。あと1時間やったら、多分ギックリ腰を起こしていたでしょう。帰りのバスでは、腕が筋肉疲労でほとんど動かせませんでした。
と、相当なハードワークだったわけですが、精神的には出発前よりも疲れがとれているような気がしました。
おそらく、その理由の一つは、現地の方々との触れ合いだったと思います。凄まじい被害にあいながらも、明るさを忘れない。そんな姿に触れ、こちらがパワーをいただくような感覚をおぼえました。
また、一心不乱に掃除をすることで頭が空っぽになったこと、バスのなかで眠れず、往復10時間以上ひたすらボーっとしていたことなども、良かったようです。こんなに長時間ボーっとしていたのは、社会人になってから初めてじゃないだろうか…?
こうした得難い経験が、心を休ませることにつながったのでしょう。
正直、出発前は、日が近づくにつれ、気が滅入ってきて、キャンセルしたくて仕方なかったんですが。
かつて、ボランティア団体のリーダーに取材したときに、「ボランティアは相手のためでなく、自分のため」という話を聞いたのですが、まさにその通りだと実感できました。
現地はまだまだ復興半ば、とテレビや新聞などで言われていますが、その度合いは想像以上。 僕が行った翌週に、友人も同じツアーに行ったのですが、311からほとんど手付かずの公民館を掃除したとか。まだこういう場所があるわけです。結局、片付けはシステマチックにいかないことが多いので、なかなか作業が進まないんですね。
にもかかわらず、ボランティアの数はかなり減ってきている、と聞きました。
しょっちゅう行けるわけではないですが、また行こうと思います。